7.那須野

【芭蕉自筆影印】
 那春の黒者年登云處尓知人あれ者 こ禮よ利野越尓可ゝ里て 直道(スグミチ)越ゆ可無登す 遥尓一村を見可けて行尓 雨降り日暮るゝ 農夫乃家尓 一夜を可りて 明連者又野中を行 そこに野飼の馬あ利 
(那すの黒ばねと云処に知人あれば、これより野越にかゝりて、直道(スグミチ)をゆかむとす。遥に一村を見かけて行に、雨降り日暮るゝ。農夫の家に、一夜をかりて、明れば又野中を行。そこに野飼の馬あり。)

 草刈おのこにな介きよれ者 野夫登いへ共(?) さ春可に情志らぬ尓盤あらす い可ゝ春へきや され共(?) 此野ハ東西縦横尓王可れて う為ゝゝ敷(慣れない)旅人の道ふ三堂可へ無 あやしう侍禮ハ この馬能とゝまる處尓て馬越返し給(?)へ登 ちいさきもの婦多り 馬能跡し多ひて者しる
(草刈おのこになげきよれば、野夫といへ共(?)、さすがに情しらぬにはあらず。いかゞすべきや、され共(?)、此野は東西縦横にわかれて、ういゝゝ敷(慣れない)旅人の道ふみたがへむ、あやしう侍れば、この馬のとゞまる処にて馬を返し給(?)へと、ちいさきものふたり、馬の跡したひてはしる。)

 ひとりハ小娘尓て 名を可さ年と云 聞な禮ぬ名の やさし可り希禮者

 かさねとは八重撫子の名成へし 曽良

頓(ヤガ)て人里尓至連者 あ多ひを鞍つ本耳結付て 馬越返しぬ
(ひとりは小娘にて、名をかさねと云。聞なれぬ名の、やさしかりければ、

 かさねとは八重撫子の名成べし 曽良

頓(ヤガ)て人里に至れば、あたひを鞍つぼに結付て、馬を返しぬ。)

【芭蕉尋ね地】
①~日光街道・霧降大橋付近~
 日光街道から霧降の滝方面即

②~日光街道・筋違橋(志渡渕川)~
 日光駅手前約700m
 日光線ガード手前

③~日光北街道・瀬尾~川室~


④~日光北街道・大渡橋~船生~


⑤~日光北街道・玉生~
 芭蕉一宿の地
 塩谷郡塩谷町玉生632
 バスターミナル奥数十メートル



【難解文字(?)】
 いへ共(?)さ春
(いへ共(?)さす)

 きやされ共(?)此

  参考文字


一覧へ