1.深川

[1689年・元禄2年3月23日]

【芭蕉自筆影印】
①おくの細道紀行文 
 月日盤百代の過客(クワカク)尓して行かふ年も又旅人也 舟の上尓生涯をう可へ 馬能口とら部天老をむ可ふるもの盤 日々旅尓し亭旅を栖(スミカ)と春 古人も多く旅耳死せるあ利
(月日は百代の過客(クワカク)にして行かふ年も又旅人也。舟の上に生涯をうかべ、馬の口とらへて老をむかふるものは、日々旅にして旅を栖(スミカ)とす。古人も多く旅に死せるあり。)

 いつ禮の年与利可 片雲(ヘンウン)能風尓さそ者連て 漂泊のおもひやます 海濱尓さ春らへて 去年の秋 江上破屋耳 蜘の古巣越者らひて やゝ年も暮 春改れ者 霞の空耳 白川の関こえ武と そゝろ可みの 物尓付て古ゝろ越久留者世 道祖神のま年きにあひて 取もの手につ可春 もゝ引の破をつゝ利 笠の緒付可へて 三里(膝頭下)に灸春ゆ留与利 松嶋の月 先心もと那し 住留方盤人尓譲利て 杉風可別墅(ベツシヨ)耳移るに
(いづれの年よりか、片雲(ヘンウン)の風にさそはれて、漂泊のおもひやまず、海浜にさすらへて、去年の秋、江上破屋に、蜘の古巣をはらひて、やゝ年も暮、春改れば、霞の空に、白川の関こえむと、そゞろがみの、物に付てこゝろをくるはせ、道祖神のまねきにあひて、取もの手につかず、もゝ引の破をつゞり、笠の緒付かへて、三里(膝頭下)に灸すゆるより、松嶋の月、先心もとなし。住る方は人に譲りて、杉風が別墅(ベツシヨ)に移るに)

 草の戸も住替る代そ雛の家
(草の戸も住替る代ぞ雛の家)

 面八句を書て 庵の柱耳懸置

【句碑】
①深川芭蕉記念館
 江東区常盤1-6-3

 草能戸も住美替る代ぞひなの家
(草の戸も住み替る代ぞひなの家)


【芭蕉像】
 芭蕉史跡展望庭園
 江東区常盤1-1-3











一覧へ