21.壺の碑

【芭蕉自筆影印】
 壺碑 市川村多賀城ニ有
 つ本の石婦みハ 高サ六尺餘 横三尺計歟(カ) 苔越穿(ウガチ)て文字幽(カスカ)也 四維国界之数里を印(?)ス 此城 神亀元年 按察使鎮守苻将軍大野朝臣東人之所里也 天平宝字六年 参議東海東山節度使同将軍恵義朝臣?(?)修造而(?) 十二月一日と有 聖武皇帝乃御時尓あ多禮り む可しよ梨よみ置る哥枕 多く可多り傳ふといへとも 山崩川流て 道あら多ま里 石盤埋て土尓可く禮 木ハ老て若木尓可者禮者 時移里代變して 其跡堂し可ならぬ事乃み 爰至りてう多可ひ那き千歳の記念 今眼前尓古人の心を閲(ケミ)す 行脚の一徳 存命の悦 羈旅(キリョ)の労を王春禮て 泪も落類者可り也
(壺碑 市川村多賀城に有
 つぼの石ぶみは、高さ六尺余、横三尺計歟(カ)。苔を穿(ウガチ)て文字幽(カスカ)也。四維国界之数里を印(?)す。此城、神亀元年、按察使鎮守苻将軍大野朝臣東人之所置也。天平宝字六年、参議東海東山節度使同将軍恵美朝臣?(?)修造而(?)。十二月一日と有。聖武皇帝の御時にあたれり。むかしよりよみ置る歌枕、多くかたり伝ふといへども、山崩川流て、道あらたまり、石は埋て土にかくれ、木は老て若木にかはれば、時移り代変じて、其跡たしかならぬ事のみ。爰至りてうたがひなき千歳の記念、今眼前に古人の心を閲(ケミ)す。行脚の一徳、存命の悦、羈旅(キリョ)の労をわすれて、泪も落るばかり也。)

【句碑】
①壺碑(つぼのいしぶみ)(多賀城碑)
 多賀城市市川字城前27付近
 多賀城・覆(おおい)堂

 阿や免草足尓結者武草鞋乃緒
(あやめ草足に結ばむ草鞋の緒)


【難解文字(?)】
 数里を印(?)ス

  参考文字
   印


 朝臣?(?)修造而(?)

  参考文字
   「朝臣?(?)」
    影印文字漢字変換なし
    各種を調査・探求も見つからず
    添付から「獦」
    「朝」補充し「朝臣朝獦」

   「而(?)」
    添付から「也(?)」
   「朝臣朝獦(?)修造也(?)」




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