45.全昌寺

[8月7日(9月20日)]
    小松〜全昌寺(泊)

【芭蕉自筆影印】
 大聖持の城外全昌寺登云寺に泊る 猶可ゝの地也(?) 曽良も前の夜此寺に泊りて
 終夜秋風聞やうらの山
と残ス 一夜の隔 千里にお那し 我も秋風を聴て衆寮耳臥 明本のゝ空ち可ふ 讀經聞ユル二 板鐘(ハンショウ)鳴て食堂耳入 氣ふ盤越前の国へ登 心早卒尓して堂下尓下ル 若き僧共 紙 硯を可ゝへて 階(キザハシ)の无とまて追来ル 折節庭中の柳散連者
(大聖持の城外全昌寺と云寺に泊る。猶かゞの地也(?)。曽良も前の夜此寺に泊りて、
 終夜秋風聞やうらの山
と残す。一夜の隔、千里におなじ。我も秋風を聴て衆寮に臥。明ぼのゝ空ちかふ、読経聞ゆるに、板鐘(ハンショウ)鳴て食堂に入。けふは越前の国へと、心早卒にして堂下に下る。若き僧共、紙、硯をかゝへて、階(キザハシ)のもとまで追来る。折節庭中の柳散れば、)

 庭掃て出者や寺に散柳
(庭掃て出ばや寺に散柳)

 とりあへぬ一句 草鞋な可ら書捨ツ
(とりあへぬ一句、草鞋ながら書捨つ)

【句碑】
①全昌寺

 庭掃て出者や寺に散柳
(庭掃て出ばや寺に散柳)
「自筆・おくのほそ道・紀行文を拡大」








一覧へ