49.種の浜(いろのはま)

【芭蕉自筆影印】
 十六日 空晴多れ者 ます保の小貝ひろ者んと 種の濱尓舟を走ス 海上七里あ利 天屋何某と云もの 破籠(ワリゴ) さゝへな登こまや可に志多ゝめさせ 僕あま多舟尓と利のせて 追風時の間に吹付ぬ 濱盤わ徒可な流蜑の小家尓て 侘しき法華寺有 爰耳ちやをのみ 酒をあ多ゝめて 夕暮能さひしさ感尓堪堂り
(十六日、空晴たれば、ますほの小貝ひろはんと、種の浜に舟を走す。海上七里あり。天屋何某と云もの、破籠(ワリゴ)、さゝへなどこまやかにしたゝめさせ、僕あまた舟にとりのせて、追風時の間に吹付ぬ。浜はわづかなる蜑の小家にて、侘しき法華寺有。爰にちやをのみ、酒をあたゝめて、夕暮のさびしさ感に堪たり )

 さ飛しさやす万に勝堂る濱の秋
(さびしさやすまに勝たる浜の秋)

 波の間や小貝尓ましる萩の塵
(波の間や小貝にまじる萩の塵)

 其日能日記 等裁尓筆をとらせて寺耳残ス
(其日の日記、等裁に筆をとらせて寺に残す)

【句碑】
①本隆寺開山堂
 福井県敦賀市色浜31-33

 寂しさや須磨にかちたる濱の秋

②本隆寺

 浪の間や小貝尓万し留萩の塵

③本隆寺「法花寺」

 小萩知連ま須本の小貝小盃
(小萩ちれますほの小貝小盃 初案 大垣記念館)





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