【芭蕉自筆影印】
①紀行文
當国 雲岸寺能おくに 佛頂和尚の 山居の跡有
竪横の五尺尓堂らぬ草の庵
む春ふもくやし雨な可利せ者
登 松の炭して岩尓書付侍利と いつそやきこへ給(?)ふ
(当国、雲岸寺のおくに、仏頂和尚の、山居の跡有。
竪横の五尺にたらぬ草の庵
むすぶもくやし雨なかりせば
と、松の炭して岩に書付侍りと、いつぞやきこへ給(?)ふ。)
其跡み舞と 雲岸寺尓杖を曳者 人ゝすゝ無て 共尓いさなひ 若き人お保く 道の程打さハ(ワ)きて お保へ春彼麓尓至る 山盤おくある氣しきにて 谷道者る可耳 松杉くろく 苔志多ゝ里て 卯月の天 今猶寒し 十景盡る所 橋を王多川て 山門尓入
(其跡みむと、雲岸寺に杖を曳ば、人ゞすゝむで、共にいざなひ、若き人おほく、道の程打さは(ワ)ぎて、おぼえず彼麓に至る。山はおくあるけしきにて、谷道はるかに、松杉くろく、苔したゞりて、卯月の天、今猶寒し。十景尽る所、橋をわたつて、山門に入。)
さて彼跡盤 いつくの程尓やと 後の山二可氣の本禮者 石上の小庵 岩窟二む春ひ可氣堂り 妙禅師の死関(シクワン) 法雲法師の石室ヲ 見るかこし
(さて彼跡は、いづくの程にやと、後の山にかけのぼれば、石上の小庵、岩窟にむすびかけたり。妙禅師の死関(シクワン)、法雲法師の石室を、見るがごし。)
木啄も庵盤くらハ春夏木立
(木啄も庵はくらはず夏木立)
登 とりあへぬ一句 柱耳残侍し
(と、とりあへぬ一句、柱に残侍し。)
當国 雲岸寺能おくに 佛頂和尚の 山居の跡有
竪横の五尺尓堂らぬ草の庵
む春ふもくやし雨な可利せ者
登 松の炭して岩尓書付侍利と いつそやきこへ給(?)ふ
(当国、雲岸寺のおくに、仏頂和尚の、山居の跡有。
竪横の五尺にたらぬ草の庵
むすぶもくやし雨なかりせば
と、松の炭して岩に書付侍りと、いつぞやきこへ給(?)ふ。)
其跡み舞と 雲岸寺尓杖を曳者 人ゝすゝ無て 共尓いさなひ 若き人お保く 道の程打さハ(ワ)きて お保へ春彼麓尓至る 山盤おくある氣しきにて 谷道者る可耳 松杉くろく 苔志多ゝ里て 卯月の天 今猶寒し 十景盡る所 橋を王多川て 山門尓入
(其跡みむと、雲岸寺に杖を曳ば、人ゞすゝむで、共にいざなひ、若き人おほく、道の程打さは(ワ)ぎて、おぼえず彼麓に至る。山はおくあるけしきにて、谷道はるかに、松杉くろく、苔したゞりて、卯月の天、今猶寒し。十景尽る所、橋をわたつて、山門に入。)
さて彼跡盤 いつくの程尓やと 後の山二可氣の本禮者 石上の小庵 岩窟二む春ひ可氣堂り 妙禅師の死関(シクワン) 法雲法師の石室ヲ 見るかこし
(さて彼跡は、いづくの程にやと、後の山にかけのぼれば、石上の小庵、岩窟にむすびかけたり。妙禅師の死関(シクワン)、法雲法師の石室を、見るがごし。)
(木啄も庵はくらはず夏木立)
登 とりあへぬ一句 柱耳残侍し
(と、とりあへぬ一句、柱に残侍し。)
②「木啄も」句文懐紙
堂てよこの五尺耳たらぬ草の戸を
むすふもくやし雨な可利世者
登よみ侍るよし 兼て物可多りきこへ侍るそ 見しハきゝし尓増利て あ者礼尓心すむ者可利なれ者
木啄も庵ハ破らす夏木立
( たてよこの五尺にたらぬ草の戸を
むすぶもくやし雨なかりせば
とよみ侍るよし、兼て物がたりきこへ侍るぞ、見しはきゝしに増りて、あはれに心すむばかりなれば
木啄も庵は破らず夏木立 )
【句碑】
①雲巌寺
大田原市雲岩寺27
木川(?)ゝ起(?)毛以本ハや不良寸(?)夏こ多(?)知
(木つゝきもいほはやぶらず夏こたち)
(木啄も庵は破らず夏木立 大垣記念館)
(木啄も庵はくらはず夏木立 芭蕉自筆紀行文)
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【句碑】
①雲巌寺
大田原市雲岩寺27
木川(?)ゝ起(?)毛以本ハや不良寸(?)夏こ多(?)知
(木つゝきもいほはやぶらず夏こたち)
(木啄も庵は破らず夏木立 大垣記念館)
(木啄も庵はくらはず夏木立 芭蕉自筆紀行文)
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