10.高久・殺生石

[4月16日(6月3日)]〜
    野間〜鍋掛〜越堀〜高久・角左衛門宅(2泊)
[4月18日(6月5日)]〜
    松子〜那須湯本(2泊)


【芭蕉自筆影印】
①紀行文
 こ禮より 殺生石尓行 館代より馬尓て送らる 此口付のおのこ 短尺得させよ登乞 やさしき事越望侍るもの可奈登
(これより、殺生石に行。館代より馬にて送らる。此口付のおのこ、短尺得させよと乞。やさしき事を望侍るものかなと、)

 野をよこに馬挽む気よ郭公
(野をよこに馬挽むけよ郭公)

 殺生石盤 温泉の出る山陰耳あり 石の毒氣いま多本ろひ春 蜂蝶の堂くひ 真砂の色の見へぬ本登 可さ那り死ス
(殺生石は、温泉の出る山陰にあり。石の毒気いまだほろびず、蜂蝶のたぐひ、真砂の色の見えぬほど、かさなり死す。)

②「落くるや」句文懐紙
 みちのく一見乃桑門 同行二人 那す能篠原を多つ年て 猶殺生石ミむ登急き侍る程尓 あ免降出介礼者 先此登ころ尓とゝまり候
(みちのく一見の桑門、同行二人、那すの篠原をたづねて、猶殺生石みむと急ぎ侍る程に、あめ降出ければ、先此ところにとゞまり候。)

 落くるや多可くの宿能郭公 風羅坊
(落くるやたかくの宿の郭公 風羅坊)

 木の間越のそく短夜(ミジカヨ)の雨
               曾良 
(木の間をのぞく短夜の雨   曾良)

【句碑】
①鍋掛宿
 那須塩原市鍋掛
 県道34と72交差点東

 野遠横耳馬牽武けよ本とゝ支春
(野を横に馬牽むけよほととぎす)
(野を横に馬牽きむけよほととぎす 初案 大垣記念館)


②高福寺
 那須郡那須町高久甲578
   参道 松とサルスベリの下

 落来留也太可久乃宿乃保止ゝ幾須
(落来るやたかくの宿のほとときす)
(落来るや高久の宿の郭公)


③芭蕉塚
 高久家隣
 高福寺から県道303約2km





④那須湯本温泉神社
 栃木県那須郡那須町湯本182
 拝殿前左石段


 湯遠武数布誓毛お那知石清水
(湯をむすぶ誓もおなち石清水) 
(湯をむすぶ誓ひも同じ石清水 大垣記念館)



⑤殺生石
 宵の河原方向・左前方

 いし能香や奈つ草あ閑く露阿つし
(いしの香やなつ草あかく露あつし)
(石の香や夏草赤く露あつし 大垣記念館)


⑥高久愛宕山公園
 那須郡那須町髙久甲563-2

 落ちくるや多可くの宿能郭公
(落ちくるやたかくの宿の郭公)

⑦新晩翠橋
 那須郡那須町髙久 R4橋の畔

 落ちくるや髙久の宿の郭公



一覧へ戻る