19.武隈の松

【芭蕉自筆影印】
①紀行文
  岩沼宿
 武隈の松尓こ楚 目覚る心地ハ春禮 根盤土際よ利二木尓わ可連て む可しの姿うしな者す登 志らる 先 能因法師おもひ出 往昔むつの可み尓て下里し人 此木越伐て 名取川の橋杭尓せら禮多る事なと あ連者尓や (能因法師が)松ハ此多ひ跡も那しとハよみ堂利 代々 あるハきり あるひハ植次な登せし登聞尓 今将(イマハタいままた)千歳乃可多ちとゝのひて めて多き松の氣しきになん侍し 堂希くま能松みせ申勢遲櫻と 拳白と云ものゝ 餞別志多り希禮者
( 岩沼宿
 武隈の松にこそ、目覚る心地はすれ。根は土際より二木にわかれて、むかしの姿うしなはずと、しらる。先、能因法師おもひ出。往昔むつのかみにて下りし人、此木を伐て、名取川の橋杭にせられたる事など、あればにや、(能因法師が)松は此たび跡もなしとはよみたり。代々、あるはきり、あるひは植次などせしと聞に、今将(イマハタいままた)千歳のかたちとゝのひて、めでたき松のけしきになん侍し。たけくまの松みせ申せ遅桜と、挙白と云ものゝ、餞別したりければ )

 櫻より松盤二木を三月越シ
(櫻より松は二木を三月越し)

②「ちりうせぬ」句文懐紙
 むさし㙒盤桜のうち尓宇可礼いてゝ 白可盤の関盤さなへ尓こ盈 堂介く万の松盤あや免婦く比尓なむな梨ぬ

 ち梨うせぬ松盤二木を三月こし

(むさし野は桜のうちにうかれいでゝ、白かはの関はさなへにこえ、たけくまの松はあやめふく比になむなりぬ

 ちりうせぬ松は二木を三月ごし )

【句碑】
①二木の松史跡公園
 岩沼市二木2-2

 櫻より松は二木を三月越し



  

②岩沼駅前

 桜より松波二木を三月越
(桜より松は二木を三月越)

③竹駒神社
 岩沼市稲荷町1-1

 佐くらより松盤二木を三月越し


【芭蕉像】
①岩沼駅



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