25.松島

【芭蕉自筆影印】
 日既 午尓ち可し 舟を可利て 松嶋耳渡ル 其間ニ里餘 小嶋の磯尓つく 抑(ソモソモ) 松嶋盤 扶桑第一の好風尓して をよそ 洞庭 西湖を恥春 東南より 海を入て 江の中三里 浙(セツ)江の潮(ウシホ)を多ゝふ 嶋ゝの数を盡して 欹(ソバダツそびえ立)もの盤天を指 婦春ものハ波耳圃匐(ハラハウ) ある(島)盤二重に可さなり 三重に疊(タタミ)て 左り尓わ可禮 右尓つらな流 (小島を)負(オエ)ルあり 抱(イダケ)ルあり 児-孫愛春(仲良する)可こ登し
(日既、午にちかし。舟をかりて、松嶋に渡ル。其間ニ里余、小嶋の磯につく。抑(ソモソモ)、松嶋は、扶桑第一の好風にして、をよそ、洞庭、西湖を恥ず。東南より、海を入て、江の中三里、浙(セツ)江の潮(ウシホ)をたゝふ。嶋ゞの数を尽して、欹(ソバダツそびえ立)ものは天を指、ふすものは波に圃匐(ハラバウ)。ある(島)は二重にかさなり、三重に畳(タタミ)て、左りにわかれ、右につらなる。(小島)負(オエ)るあり、抱(イダケ)るあり。児-孫愛す(仲良する)がごとし。)
 松のみとりこまや可に 枝-葉 汐風に吹堂者めて 窟-曲 をのつ可ら 多め多る可こ登し 其氣色窅(ヨウ)然として 美人の顔を粧(ヨソホ)ふ 千早振(チハヤフル)神のむ可し 大山春み(ツミ祇)のなせ類者さ尓や 造-化乃天工 いつ連の人可 筆を婦るひ 詞を盡さ無
(松のみどりこまやかに、枝-葉、汐風に吹たはめて、屈-曲、をのづから、ためたるがごとし。其気色窅(ヨウ)然として、美人の顔を粧(ヨソホ)ふ。千早振(チハヤフル)神のむかし、大山ずみ(ツミ祇)のなせるわざにや。造-化の天工、いづれの人か、筆をふるひ、詞を尽さむ。)

【句碑】
①詠地付近になし

(嶋々や千々にくだきて夏の海 大垣記念館)

【芭蕉尋ね地】
①松島湾・五大堂










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