26.雄島・松島

【芭蕉自筆影印】
 小嶋可磯盤地つゝきて 海尓成出多る嶋也 雲居禅師の別室の跡 坐禅石なと有 将(ハタ) 松の木陰尓 世越いとふ人も 稀ゝ見え侍りて 落本 松笠なと 打煙多る 草の庵 閒(シヅカ)に住なし い可なる人登ハ志ら禮春な可ら 先なつ可しく立寄本とに 月海尓移里て 昼のな可め 又あら多む
(小嶋が磯は地つゞきて、海に成出たる嶋也。雲居禅師の別室の跡、坐禅石など有。将(ハタ)、松の木陰に、世をいとふ人も、稀ゝ見え侍りて、落ぼ、松笠など、打煙たる、草の庵、閒(シヅカ)に住なし、いかなる人とはしられずながら、先なつかしく立寄ほどに、月海に移りて、昼のながめ、又あらたむ。)
 江上尓帰りて 宿ヲ求連者 窓を開 二階を作て 風雲の中耳旅寝するこ楚 あやしきまて多へなる心地ハせらるれ
 松島や鶴尓身を可禮本とゝ支す 曽良
予盤 口をとちて 眠ら無登して い年ら連春 旧庵をわ可るゝ時 素堂 松嶋の詩有 原安適 松可うらしま能和哥を送ら流 袋を解て こよひの友と春 且 杉風 濁子 発句あり
(江上に帰りて、宿を求れば、窓を開、二階を作て、風雲の中に旅寝するこそ、あやしきまでたへなる心地はせらるれ。
 松嶋や鶴に身をかれほとゝぎす 曽良
予は、口をとぢて、眠らむとして、いねられず。旧庵をわかるゝ時、素堂、松嶋の詞有。原安適、松がうらしまの和歌を送らる。袋を解て、こよひの友とす。且、杉風、濁子、発句あり。)

【芭蕉尋ね地】
①雄島





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