50.大垣

【芭蕉自筆影印】
①紀行文
 露通もこのみな登迄(?)出(?)む可ひて みのゝ国へ登伴ふ 駒を者やめて大垣乃庄尓入者 曽良も伊勢より可け合 越人も馬越と者せて 女行可家耳入集る 前川子 荊口父子 其外志多しき人々日夜と婦らひて ふ多堂ひ蘇生のもの尓あふ可ことく 且よろこひ 且な希きて 旅のものうさも いま多やま佐るに 長月六日尓なれ者 伊勢能遷宮お可まんと 又婦年に乗て
(露通もこのみなと迄(?)出(?)むかひて、みのゝ国へと伴ふ。駒をはやめて大垣の庄に入ば、曽良も伊勢よりかけ合、越人も馬をとばせて、女行が家に入集る。前川子、荊口父子、其外したしき人々日夜とぶらひて、ふたたび蘇生のものにあふがごとく、且よろこび、且なげきて、旅のものうさも、いまだやまざるに、長月六日になれば、伊勢の遷宮おがまんと、又ふねに乗て)

 蛤能婦多み尓別行秋楚
(蛤のふたみに別行秋ぞ)

②「はまぐりの」等二句壊紙
    元禄二とせの秋、三のゝ国    大可きよ梨いせのせんくう耳まうて侍し不年のうち尓て    おくり希る人ゝ耳申多流句

    者末く利乃婦多みに和可礼行秋曽

内宮盤こと於さ末利て   下宮のせんくうお可み侍梨て

    堂ふと佐尓みなおしあひぬ御遷宮

(元禄二とせの秋、みのゝ国、大がきよりいせのせんぐうにまうで侍しふねのうちにて、おくりける人ゝに申たる句

       はまぐりのふたみにわかれ行秋ぞ

内宮はことおさまりて、下宮のせんぐうおがみ侍りて

    たふとさにみなおしあひぬ御遷宮     )

【句碑】
①むすびの地 
 岐阜県大垣市船町2-26-1
 「むすびの地記念館」前道路沿 


    い勢尓ま可り个る越   
    ひとの送り个禮者
 
    蛤乃婦多み尓別行秋曽

(い勢にまかりけるを、
    ひとの送りければ

    蛤のふたみに別行秋ぞ    )

「自筆『蛤の』発句色紙を拡大」

②むすびの地 貝殻橋付近

 木因何某隠居をとふ

    隠家や菊と月と尓田三反
(隠家や菊と月とに田三反)
(かくれ家や月と菊とに田三反 大垣記念館)

「自筆『隠家や』発句懐紙を拡大」

③明星輪寺
 大垣市赤坂4610

 鳩能聲身尓入王多類岩と哉
(鳩の声身に入わたる岩と哉)
(鳩の声身に入わたる岩戸哉 大垣記念館)

④円通寺
 大垣市西外側町1-32-1

 こ毛利居て木の実草の実拾ハ者や
(こもり居て木の実草の実拾はばや 大垣記念館)


⑤むすびの地    連句塚
 大垣市船町2

 蛤乃婦多みへ別行秋そ
 「自筆『萩に』杉風宛書簡を拡大」





【芭蕉像】
①むすびの地 


【難解文字(?)】
 みな登迄(?)出(?)む可ひ
(みなと迄(?)出(?)むかひ)

 参考文字
  迄


 






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