35.出羽三山・羽黒(つづき)

 【句碑】

①いでは文化記念館

 鶴岡市羽黒町手向字院主南72


 涼風や本の三可月能羽黒山

(涼風やほの三か月の羽黒山)

「自筆『出羽三山発句短冊』を拡大」


②いでは文化記念館

 雲の峯いく川崩礼亭月の山

(雲の峯いくつ崩れて月の山)

「自筆『出羽三山発句短冊』を拡大」


③いでは文化記念館

 閑堂ら礼ぬゆとの尓ぬらす袂可な

(かたられぬゆどのにぬらす袂かな)

「自筆『出羽三山発句短冊』を拡大」



【芭蕉訪ね地】 

①五重塔



②三日月塚





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42.小松(つづき)

【句碑】
①三ノ丸の公園
    小松市丸内1−19

    しをらしき名や小松吹く萩すゝき



②すわまへ芭蕉公園
    小松市浜田八


    ぬれて行や人もをかしき雨の萩


③大川大橋南詰
    小松市大川町2


    ぬ礼て行や人も於可し幾あ免の萩
(ぬれて行や人もおかしきあめの萩)
「自筆『わせのかや』等三句懐紙を拡大」


④三ノ丸の公園

    ぬれてゆく人をかしや雨の萩


⑤三ノ丸公園

    むさんやな甲の下のきりぎりす









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7.那須野

[4月2日(5月20日)]
    〜瀬尾〜川室〜大渡〜船生(塩谷町)〜玉生(泊)

【芭蕉自筆影印】
 那春の黒者年登云處尓知人あれ者 こ禮よ利野越尓可ゝ里て 直道(スグミチ)越ゆ可無登す 遥尓一村を見可けて行尓 雨降り日暮るゝ 農夫乃家尓 一夜を可りて 明連者又野中を行 そこに野飼の馬あ利 
(那すの黒ばねと云処に知人あれば、これより野越にかゝりて、直道(スグミチ)をゆかむとす。遥に一村を見かけて行に、雨降り日暮るゝ。農夫の家に、一夜をかりて、明れば又野中を行。そこに野飼の馬あり。)

 草刈おのこにな介きよれ者 野夫登いへ共(?) さ春可に情志らぬ尓盤あらす い可ゝ春へきや され共(?) 此野ハ東西縦横尓王可れて う為ゝゝ敷(慣れない)旅人の道ふ三堂可へ無 あやしう侍禮ハ この馬能とゝまる處尓て馬越返し給(?)へ登 ちいさきもの婦多り 馬能跡し多ひて者しる
(草刈おのこになげきよれば、野夫といへ共(?)、さすがに情しらぬにはあらず。いかゞすべきや、され共(?)、此野は東西縦横にわかれて、ういゝゝ敷(慣れない)旅人の道ふみたがへむ、あやしう侍れば、この馬のとゞまる処にて馬を返し給(?)へと、ちいさきものふたり、馬の跡したひてはしる。)

 ひとりハ小娘尓て 名を可さ年と云 聞な禮ぬ名の やさし可り希禮者

 かさねとは八重撫子の名成へし 曽良

頓(ヤガ)て人里尓至連者 あ多ひを鞍つ本耳結付て 馬越返しぬ
(ひとりは小娘にて、名をかさねと云。聞なれぬ名の、やさしかりければ、

 かさねとは八重撫子の名成べし 曽良

頓(ヤガ)て人里に至れば、あたひを鞍つぼに結付て、馬を返しぬ。)

【芭蕉尋ね地】
①~日光街道・霧降大橋付近~
 日光街道から霧降の滝方面即

②~日光街道・筋違橋(志渡渕川)~
 日光駅手前約700m
 日光線ガード手前

③~日光北街道・瀬尾~川室~


④~日光北街道・大渡橋~船生~


⑤~日光北街道・玉生~
 芭蕉一宿の地
 塩谷郡塩谷町玉生632
 バスターミナル奥数十メートル



【難解文字(?)】
 いへ共(?)さ春
(いへ共(?)さす)

 きやされ共(?)此

  参考文字


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5.鹿沼

[3月29日(5月18日)]
    下稲葉〜壬生通〜楡木〜鹿沼(泊)

【芭蕉自筆影印】
①「入あひの」発句色紙
 入あひ乃可年毛きこへす者流の久礼
(入あひのかねもきこへすはるのくれ)

【句碑】
①掬翠(きくすい)園
 鹿沼市銀座1-1870ー1
 屋台のまち中央公園隣

 入あひ乃可年毛きこへす者流の久礼
(入あいのかねもきこへずはるのくれ)
  (入逢の鐘もきこえず春の暮れ)



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50.大垣

[8月21日(10月4日)〜]
    (泊)不明

【芭蕉自筆影印】
①紀行文
 露通もこのみな登迄(?)出(?)む可ひて みのゝ国へ登伴ふ 駒を者やめて大垣乃庄尓入者 曽良も伊勢より可け合 越人も馬越と者せて 女行可家耳入集る 前川子 荊口父子 其外志多しき人々日夜と婦らひて ふ多堂ひ蘇生のもの尓あふ可ことく 且よろこひ 且な希きて 旅のものうさも いま多やま佐るに 長月六日尓なれ者 伊勢能遷宮お可まんと 又婦年に乗て
(露通もこのみなと迄(?)出(?)むかひて、みのゝ国へと伴ふ。駒をはやめて大垣の庄に入ば、曽良も伊勢よりかけ合、越人も馬をとばせて、女行が家に入集る。前川子、荊口父子、其外したしき人々日夜とぶらひて、ふたたび蘇生のものにあふがごとく、且よろこび、且なげきて、旅のものうさも、いまだやまざるに、長月六日になれば、伊勢の遷宮おがまんと、又ふねに乗て)

 蛤能婦多み尓別行秋楚
(蛤のふたみに別行秋ぞ)

②「はまぐりの」等二句壊紙
    元禄二とせの秋、三のゝ国    大可きよ梨いせのせんくう耳まうて侍し不年のうち尓て    おくり希る人ゝ耳申多流句

    者末く利乃婦多みに和可礼行秋曽

内宮盤こと於さ末利て   下宮のせんくうお可み侍梨て

    堂ふと佐尓みなおしあひぬ御遷宮

(元禄二とせの秋、みのゝ国、大がきよりいせのせんぐうにまうで侍しふねのうちにて、おくりける人ゝに申たる句

    はまぐりのふたみにわかれ行秋ぞ

内宮はことおさまりて、外宮のせんぐうおがみ侍りて

    たふとさにみなおしあひぬ御遷宮     )

【句碑】
①むすびの地 
 岐阜県大垣市船町2-26-1
 「むすびの地記念館」前道路沿 


    い勢尓ま可り个る越   
    ひとの送り个禮者
 
    蛤乃婦多み尓別行秋曽

(い勢にまかりけるを、
    ひとの送りければ

    蛤のふたみに別行秋ぞ    )

「自筆『蛤の』発句色紙を拡大」

②むすびの地 貝殻橋付近

 木因何某隠居をとふ

    隠家や菊と月と尓田三反
(隠家や菊と月とに田三反)
(かくれ家や月と菊とに田三反 大垣記念館)

「自筆『隠家や』発句懐紙を拡大」

③明星輪寺
 大垣市赤坂4610

 鳩能聲身尓入王多類岩と哉
(鳩の声身に入わたる岩と哉)
(鳩の声身に入わたる岩戸哉 大垣記念館)

④円通寺
 大垣市西外側町1-32-1

 こ毛利居て木の実草の実拾ハ者や
(こもり居て木の実草の実拾はばや 大垣記念館)


⑤むすびの地    連句塚
 大垣市船町2

 蛤乃婦多みへ別行秋そ
 「自筆『萩に』杉風宛書簡を拡大」





【芭蕉像】
①むすびの地 


【難解文字(?)】
 みな登迄(?)出(?)む可ひ
(みなと迄(?)出(?)むかひ)

 参考文字
  迄


 






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49.種の浜(いろのはま)

[8月16日(9月29日)〜]
    (泊)不明

【芭蕉自筆影印】
 十六日 空晴多れ者 ます保の小貝ひろ者んと 種の濱尓舟を走ス 海上七里あ利 天屋何某と云もの 破籠(ワリゴ) さゝへな登こまや可に志多ゝめさせ 僕あま多舟尓と利のせて 追風時の間に吹付ぬ 濱盤わ徒可な流蜑の小家尓て 侘しき法華寺有 爰耳ちやをのみ 酒をあ多ゝめて 夕暮能さひしさ感尓堪堂り
(十六日、空晴たれば、ますほの小貝ひろはんと、種の浜に舟を走す。海上七里あり。天屋何某と云もの、破籠(ワリゴ)、さゝへなどこまやかにしたゝめさせ、僕あまた舟にとりのせて、追風時の間に吹付ぬ。浜はわづかなる蜑の小家にて、侘しき法華寺有。爰にちやをのみ、酒をあたゝめて、夕暮のさびしさ感に堪たり )

 さ飛しさやす万に勝堂る濱の秋
(さびしさやすまに勝たる浜の秋)

 波の間や小貝尓ましる萩の塵
(波の間や小貝にまじる萩の塵)

 其日能日記 等裁尓筆をとらせて寺耳残ス
(其日の日記、等裁に筆をとらせて寺に残す)

【句碑】
①本隆寺開山堂
 福井県敦賀市色浜31-33

 寂しさや須磨にかちたる濱の秋

②本隆寺

 浪の間や小貝尓万し留萩の塵

③本隆寺「法花寺」

 小萩知連ま須本の小貝小盃
(小萩ちれますほの小貝小盃 初案 大垣記念館)





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48.敦賀

[8月14日(9月27日)〜]
    出雲屋(泊)泊数不明

【芭蕉自筆影印】
①紀行文
 漸白根可嶽可く禮て 比那可嵩あら者る あさむ川の橋をわ堂里て 玉江の芦盤穂尓出介利 鶯能関を過て 湯尾峠を越連者火打可城 可へる山尓初鴈(?)を聞て 十四日能夕暮 つる可能津尓宿を无とむ
(漸白根が岳かくれて、比那が岳あらはる。あさむづの橋をわたりて、玉江の芦は穂に出けり。鶯の関を過て、湯尾峠を越れば火打が城、かへる山に初鴈(?)を聞て、十四日の夕暮、つるがの津に宿をもとむ。)

 其夜 月殊晴多利 あ春の夜もかくある遍き尓やといへ者 越路のならひ 明夜の陰晴者可利難し登 あるしに酒すゝめら禮て 希いの明神尓夜參ス 仲哀天皇能御廟也 社頭神さひて 松の木間に月能も里入堂る おまへの白砂霜を敷る可こ登し
(其夜、月殊晴たり。あすの夜もかくあるべきにやといへば、越路のならひ、明夜の陰晴はかり難しと、あるじに酒すゝめられて、けいの明神に夜参す。仲哀天皇の御廟也。社頭神さびて、松の木間に月のもり入たる、おまへの白砂霜を敷るがごとし。)

 徃昔 遊行二世能上人 大願發起能事あ里て みつ可ら葦を刈 圡石を荷 泥渟(デイテイ)を可ハ可せて 參詣徃来の煩なし 古例今尓多え須 神前耳真砂を荷ひ給(?)ふ これを遊行砂持と申侍る登 亭主能可多り遣る
(往昔、遊行二世の上人、大願発起の事ありて、みづから葦を刈、土石を荷、泥渟(デイテイ)をかはかせて、参詣往来の煩なし。古例今にたえず、神前に真砂を荷ひ給(?)ふ。これを遊行砂持と申侍ると、亭主のかたりける。)

 月清し遊行能もてる砂乃上
(月清し遊行のもてる砂の上)

 十五日 亭主能詞尓た可者す 雨降
(十五日、亭主の詞にたがはず、雨降。)

 名月や北国日和定なき
(名月や北国日和定なき)

②「なみだしくや」発句短冊

 なみ多しくや遊行のもてる砂能露
(なみだしくや遊行のもてる砂の露)

【句碑】
①気比神宮
 福井県敦賀市曙町11-68

 月清し遊行のもてる砂の上

②気比神宮

 なみ多しくや遊行のもてる砂能露
(なみだしくや遊行のもてる砂の露 初案 大垣記念館)
「自筆『なみだしくや』発句短冊を拡大」

③来迎寺
 敦賀市松島町2-5-32

 月清し遊行の持累砂の上


④常宮神社
 敦賀市常宮13-11

 月清し遊行能毛天留(?)砂の上

⑤気比神宮

 名月や北国日和定なき

【芭蕉像】
①気比神宮


【難解文字(?)】
 山尓初鴈(?)を
 
  参考文字
   文面前後から鴈を仮表記




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